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●文化ホールの自主制作事業には「市民ミュージカル」が最良

  外部からのタレントを招く企画でなく、地元市民との協働で文化ホールの企画を作る場合、市民ミュージカルは、最も費用対効果の高い催しといえる。

  理由は、舞台に関係したあらゆる芸術団体が集結することができるからだ。

  演劇、ジャズダンス、クラシックバレエ、合唱団、オーケストラ、バンドなど。演劇・音楽・舞踊の3つのジャンルから人が集まり、ひとつの舞台を作り上げる。

  公費を投入する文化ホール企画としては、参加する市民が、特定の芸術団体に偏らないことに配慮する必要があるが、「市民ミュージカル」はその観点で満足度の高い企画といえる。
●観客や参加者を集めやすい作品

  いかに芸術性の高い舞台を作っても、結果的に観客がどれだけ来場したかは、企画したスタッフの評価の大きな要件だ。

  プロの俳優でも、アイドルタレントとは違い、知名度だけで観客を呼べる役者は少ない。まして市民ミュージカルの場合、観客の多くは出演者の身内や友人、そこからクチコミをもらった人たちだ。だから出演者の多い作品を選ぶことは、観客動員を多くするための鉄則だ。

  さらに、子どもの出演者を多くすると、観客もいっそう多くなる。大人の出演者と違い、子どもが出演すれば、兄弟・両親はもとより、両家の祖父母も来てくれる。孫の晴れ舞台を見たくない老人はいない。シックス・ポケットの言葉もあるように、子どもが出演することは、大きな観客動員につながるのだ。

  だがその一方、いくら出演者の多い作品を選んでも、かんじんの出演者が多く参加してくれないと、実現しない。どんな作品なのか分からないと、公募してもどれだけ出演希望者が集まるか心配がある。

  その点、「ロミオとジュリエット」はシェイクスピアの不朽の名作であり、一般の人たちにもよく知られた、愛の物語だ。400年も前に書かれた作品なのに、ストーリーの展開やテンポがよくできている有名な作品なので、出演者を集めやすいといえる。
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